ヴァイオリン弾きにはアザがある

ヴァイオリン弾き内山恭子のエッセイブログ

2023-01-01から1年間の記事一覧

100%自分が負ける後出しジャンケンは、気遣いではない。

自分の苦手なものや人、「どう足搔いても、この環境に自分を適応させるのは無理だ」という場所を直感で判断し、極力そこから離れる、という処世術が私を守ってくれた、ということは前回の投稿で記した通り。 ただ、それは「自ら願い、努力して獲得した」とい…

「持たない者」なりの戦い方

「君は、ハイフェッツみたいに超絶技巧を猛スピードで弾いてみたいな、とは思わないのか?」 当時高校生だった私に、先生は半ば呆れたような口調で尋ねた。 (ハイフェッツは20世紀を代表する名ヴァイオリニストの一人で、超絶技巧を目にも止まらぬ速さで、し…

適度に信じ、適度に疑う。「ブレ」は「しなり」

自分へのダメ出しが、不健康かつ持続不可能な行為で、プラスになることは何一つない、と痛く思い知らされた私は、健全さを失わずに演奏の精度を上げていく方法を模索していくことにした。 とはいえ「自身の成長は、しんどいことや嫌なことと必ずセットになっ…

自分へダメ出しすることと、自分に厳しくすることは全くの別物

他人から言われた「貴方はダメだ」とか「貴方は終わりだ」など、否定的な言葉は重く受け止める一方で、「貴方は素晴らしい」といった褒め言葉は素直に受け取れない癖(へき)。 厄介だなぁと思う私の癖アレコレの中で、この癖は厄介度トップ5に入る。 私に対し…

自らの立ち位置、属性を知る

幼少の頃から、感情を外に出すのが苦手だった。人前に出て何かするのが得意ではなかったし、好きでもなかった。 ステージに立つ度に「無味乾燥な音」とか「淡白な演奏」などと評されることもしばしば。 そういった評価を私は聞き流せなかった。なぜなら、そ…